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ポリロゴス通信第五号(1999/12/21)
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○フッサールのオルガン (中山 元)
○新椋鳥通信第二号:コジェーブはKGBのスパイだった(笑) (中山 元)
○サイト紹介--ゲーテとカント
○近刊の哲学関連書
 □哲学者のテキスト
 □哲学者の理論
 □各論
 □ジェンダー論とフェミニズム
 □ナチズム下のドイツ
○オンラインの哲学雑誌(E-Journal)の目次
 □Post Modern Culture (PMC)
○オフラインの哲学雑誌(P-Journal)の目次
 □Archiv fur geschichte der philosophie, 1999, v.81-2
 □Ethics, October 1999, v.110-1
 □The journal of philosophy, November 1999, v.96-11
 □Continental philosophy review, 1999, v.32-3 (ミシェル・アンリ特集)
 □Philosophical investigations, October 1999, v.22-4
 □The journal of philosophy, October 1999, v.96-10
 □The journal of philosophy, September 1999, v.96-9
○お便りコーナー
○アンケート募集

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●フッサールのオルガン
(中山 元)

 月はつねに地球に同じ顔を向けているという。ぼくたちは地球にいる限り、月の裏側を眺めることはできないのである。これは人間の視覚の特徴そのものでもある。ぼくたちが一本の樹木を見る時には、その樹の表側しかみることができない。これは神のような鳥瞰的な視点をもたない人間の視覚に固有の制約である。

 しかし人間はこのような制約にもかかわらず、それを一つの立体的な事物として、裏側をもったものとして眺めることができる。大森荘蔵は「面体分岐」という概念で、これを表側にすぎないものとして見るか、すなわち、人間にとってみえる限りのものとして眺めるか、見えないはずの裏側を含む立体的なものとしてみるかの分岐が、認識論的な重要な違いをもたらしていることを指摘したことがある。このいかにも面妖な(笑)概念は、大森さんらしくて、ぼくは好きだ。

 前回は、人間が身体をもつことの意味を、世界の分節という視点から考えてみたが、今回は、人間がこのように立体的な把握をすることができるのは、人間に身体がそなわっていること、そしてこの身体が動くことで、実際にその樹木の裏側を認識する可能性がそなわっていることによるものであることを指摘したフッサールのキネステーゼという概念に注目したい。

 人間が知覚するものには、その位置によって認識される要素と、その内容によって認識される要素がある。樹木はある場所に、一つの種類の樹木として認識されるのであり、たとえば庭の隅にある桜の樹は、垣根の向こうのミモザの樹とは、その位置(これは位置与件と呼ばれる)と種類の違い(これはアスペクト与件と呼ばれる)によって識別されるのである。

 そして人間の視野においてさまざまな事物がこの二つの要素に基づいて認識されるためには、人間の側に特定の能力が必要であると考えられる。これは人間が実際に身体を動かして移動することによって、人間の視野に与えられる与件がつねに変化しながらも、ある不変性を維持することによって生まれると考えることができる。庭を歩くと、桜やミモザの樹は、つねに見え方を変えながらも、それが桜であることとミモザであることは変わらないのである。この可動性と不変性の関係が、人間の視覚の可能性の根底にある。

 すると人間がさまざまな事物を認識できるためには、人間の側に一つの運動性の要素がそなわっている必要があると考えることができる。フッサールはこれをキネステーゼと呼ぶのである。これは運動を示すギリシア語キネーシスと、感覚を示すギリシア語アイステーシスの合成語であり、運動としての知覚を示す用語である。
  (物体が現象として意識されるのは)運動感覚[キネステーゼ]としてて
  作動している身体性、あるいはここでは固有の活動性と習慣性において作
  動している自我とともにである。身体はまったく無比な仕方で、たえずま
  ったく直接的に知覚野のうちにある。しかもまさしくオルガンという言葉
  によって示される存在意味においてある(フッサール『ヨーロッパ諸学の
  危機と超越論的現象学』)

 事物が大森荘蔵のいうように、単に表象される面としてではなく、立体的な「有体性」として感受されるには、知覚する自我が身体とその運動性を働かせていることが条件なのであり、身体はこの有体性の知覚のための「器官(オルガン)」として機能するのである。
 フッサールはこの身体の重要性に着目しながら、このオルガンとしての身体性に基づいて、他我認識が発生すると考えている。ぼくは身体をもつものとして表象する自我であるが、この自我が表象する視野の中には、同じ身体をもつ他の存在者が認識される。もしもこの他の存在者の表象の世界に「感情移入」してみたとすると、ぼくはそこでは他の物体と同じ資格をもつ一つの身体として表象されるはずである。

 この身体の表象と認識の相互性という観点から、フッサールは他我問題を解決しようとする。しかし表象からはじめて他我の認識を演繹しようとする方法は、他者論としてはつねに固有のアポリアにつきまとわれる。まず第一に、表象する存在者としては、他者の身体はやはり一つの表象としてしか現れないのであり、それを自己と同じ身体として認識する動機を別の論拠から、演繹してくる必要があるからである。

 ぼくにとっては自分の身体だけが、みずから実感できる身体であり、他者の身体を自分の身体と同じ資格をもつものであると考えるべき動機がない。だからフッサールの演繹はつねに「要請」としてとどまる。この他我の問題については、他者の認識を、身体をもつ人間の成長における自我の形成の問題として考察するフロイトの方法の方が、このような動機を別に演繹する必要がないという点で、優れているだろう。

 第二に、ウィトゲンシュタインが示したように、他者の身体が感覚する事柄は、「感情移入」という方法では理解する術がない。他者の痛みはつねに間接的にしか感じることができないのであり、他者の喜びや悲しみも、せいぜい「類推」することしかできないものである。ぼくの独自性は他者とこうしたものを共有することがない点に存在しているのであり、方法論的な独我論の根拠は、この身体の感受性の単一性にある。これは主観の成立の根拠であり、「感情移入」の方法の原理的な否定である。

 フッサールからこの問題を引き継いだメルロ=ポンティは、『知覚の現象学』ではキネステーゼの概念を批判しながら、人間が世界を意識するのはこの身体によってであり、ぼくの意志と身体は、「魔術的な関係」を結ぶと考える。メルロ=ポンティは身体において世界が分節され、定位されると考えることによって、このキネステーゼの概念は無用になると考えるのである。

 この批判は、自我が他我を「演繹」する必要性をまったくみとめなかったメルロ=ポンティらしい手品のような解決策だが、この「魔術的な関係」は、フッサールの「生ける地平」という概念とそれほど遠いわけではない。メルロ=ポンティはフッサールとともに、そして『シンボル形式の哲学』のカッシラーとともに、人間がそもそも世界を認識できることの謎に素直に驚いているというべきだろう。



●新椋鳥通信第二号:コジェーブはKGBのスパイだった(笑)
(中山 元)
年末に笑える話題を一つ。アレクサンドル・コジェーブという思想家はご存じだと思う。それまでほとんど知られていなかったヘーゲルの思想をフランスに導入した人物だ。コジェーブが1933年から1939年まで開いたヘーゲルの『精神現象学』講義には、その後のフランス思想を担う重要な人物が聴講している。

バタイユ、ラカン、メルロ=ポンティ、レイモン・アロンなど、多数の哲学者がこの講義を直接聞いているだけでなく、サルトルなども出席はしなかったが、大きな関心を寄せていた。ラカンの理論はコジェーブのヘーゲル論なしには、理解できないし、バタイユの内的体験の思想が、コジェーブの解説したヘーゲルの弁証法に基づく知の体系に対する意義の申し立てとして成立していることは、有名だろう。

しかしコジェーブにはもう一つの顔がある。フランスの経済的な国際政策と対外交渉の場では、コジェーブは欠かせない人物となっていた。とくにコジェーブはGATTの交渉の場でのフランスの対外交渉で中心的な役割をはたしたようだ。コジェーブはヨーロッパ統一に向けて、フランスを進めさせることが重要だと考えていたのである。

Dominiqeu Auffretの伝記には、当時のバール首相のインタビューが掲載されているが、コジェーブがフランスの外交政策でどのようにコジェーブが重要な役割をはたしていたかが語られている。この場所で政治的な疑惑が発生するわけだ。

1999年9月16日のLe mondeによると、フランスの防諜担当当局である内務省の国土監視局(DST)は、コジェーブが30年の間KGBのスパイだった証拠があるという。コジェーブがなくなったのが1968年だから、ヘーゲルのセミナーを開講していた頃から、ソ連のために働いていたというわけだ。やれやれ。

もちろんなんらかの根拠がないわけではないだろう。コジェーブは貴族の生れで、少年の頃にロシア革命にであった逮捕され、いのちからがら亡命した。たくさんの宝石を隠しておいて、あとで友人にとりにいかせて、それで二人で豪華に暮らしたのだそうだ。それでもコジェーブはボルシェビキたちに強い感銘を受けていた。革命とテロルの力に圧倒されたのだ。コジェーブのヘーゲル読解には、この経験が大きな役割をはたしているだろう。そしてアロンなどには、平然とスターリンを賛美してみせた。

しかしコジェーブはソ連よりもアメリカ型の市場と資本主義の方が、マルクスの理想を実現できる近道だと考えていた。日本についてのコメントはフクヤマの書物で有名になったが、歴史の終焉はソ連よりも資本主義諸国で実現されていると考えていたのだ。だからスターリンについてのコジェーブのコメントは、コジェーブ好みのブラック・ユーモアだったと考えるのが適切だろう。

国際政治の場でも、ソ連の外交官を手玉にとって、からかったり、スパイと疑われるような振る舞いもしたかもしれない。なんせ悪ふざけの好きなおとこだったから。もっとも伝記作者のAufretも、コジェーブがスパイだったと考えると、コジェーブという人物像が一貫性をもってくると指摘している。

これは伝記作家もまた、コジェーブのブラック・ユーモアに煙にまかれていると考えるべきだろう。コジェーブの歴史の終焉の理論は、コジェーブの世界像をはっきりと示しているし、コジェーブがフランスを導こうとした欧州市場の統一という方向も、その政治活動も、これと調和しているからだ。

なにはともあれ、コジェーブがスパイであったかどうかは、証明も否定もできないだろう。フランス政府当局のこのニュースは、コジェーブの人物像にちょっとしたひねりを与えてくれる。エープリル・フールならずとも、この種の冗談は大歓迎だ(笑)

参考
○La DST avait identifie plusieurs agents du KGB parmi lesquels le philosophe Alexandre Kojeve, Le monde, 16 septembre, 1999
○Alexandre Kojeve: du trompe-l'oeil au vertege (Dominique Auffret), Le monde, 24 septembre, 1999
○Pour l'honneur d'Alexandre Kojeve (Edmond Oetigues), Le monde, 5 octobre, 1999


●サイト紹介--ゲーテとカント
岩波の『思想』の12月号はゲーテ特集でしたが、工作舎がいよいよゲーテの『色彩論』の完訳をすすめています。ゲーテがみずから描いた彩色図版を収録した本格的な訳書が登場することになります。
○色彩論 完訳版 第1巻 教示篇・論争篇
ヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ著; 工作舎; 12500円; 425.7; 99053514
○色彩論 完訳版 第2巻 歴史篇
ヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ著; 工作舎; 12500円; 425.7; 99053515;

また同時に岩波は、カント全集の新訳プロジェクトを発表しました。編集陣は、坂部恵・有福孝岳・牧野英二の三氏。理想社版には不適切な訳も散見したので、これは朗報ですね。テキスト・クリティークも厳密にしているとか。まず今月、『判断力批判』の上が出版され、来月には『実践理性批判』が出版されます。全体をみてみましょう。

○1巻 前批判期論集 I
活力測定考/地球自転論/地球老化論/火について/地震原因論/地震の自然史的記述/地震再考
○2巻 前批判期論集 II
天界の一般自然史と理論/形而上学的認識の第一原理/自然モナド論/自然地理学講義要綱(付録西風論)/オプティミズム試論/フンク君の早世を悼んで/三段論法の四つの格/美と崇高の感情にかんする観察/脳病試論/ジルバーシュラック論評
○3巻 前批判期論集 III
神の存在の唯一可能な証明根拠/負量概念の哲学への導入/自然神学と道徳の原則の判明性/1765-66年冬学期講義公告/視霊者の夢/空間における方位の区別の第一根拠について/感性界と知性界の形式と原理について/モスカティ論評/さまざまな人種/汎愛学舎論
○4・5巻 純粋理性批判(上)(中)
○6巻 純粋理性批判(下) プロレゴーメナ
○7巻 実践理性批判 人倫の形而上学の基礎づけ 人倫の形而上学の基礎づけ/実践理性批判/『実践理性批判』準備原稿
○8・9巻 判断力批判(上)(下)
○10巻 たんなる理性の限界内の宗教
たんなる理性の限界内の宗教/「宗教哲学序文」準備原稿/『たんなる理性の限界内の宗教』のための準備原稿
○11巻 人倫の形而上学
○12巻 自然の形而上学
自然科学の形而上学的原理/風の理論/運動と静止/月の火山/天候に及ぼす月の影響
○13巻 批判期論集
ランベルト往復書簡の公告/医者に対する声明/シュルツ論評/偽版の違法について/フーフェラント論評/ヤーコプ論評/思考の方向を定めるとはどういうことか/純粋理性批判の無用論/七つの公開声明/弁神論の哲学的試みの失敗/哲学における最近の尊大な語調/数学上の論争の調停/魂の器官について/哲学における永遠平和条約の締結が間近いことの告示/人間愛からの言/出版業について/R.B.ヤッハマン著『カントの宗教哲学の検討』への序文/C.G.ミールケ編『リトアニア語=ドイツ語辞典』への後記/形而上学の進歩にかんする懸賞論文
○14巻 歴史哲学論集
世界市民的見地における普遍史の理念/啓蒙とは何か/J.G.ヘルダー著『人類の歴史哲学考』についての論評/人種の概念の規定/人間の歴史の憶測的起源/哲学の目的論的原理/理論と実践/万物の終わり/永遠平和のために
○15巻 人間学
実用的見地における人間学/『人間学』遺稿
○16巻 自然地理学
自然地理学/『自然地理学』補遺
○17巻 論理学・教育学
論理学・序論/論理学・本論/教育学
○18巻 諸学部の争い 遺稿集
諸学部の争い/『美と崇高の感情にかんする観察』覚え書き/『理論と実践』準備原稿/『永遠平和のために』準備原稿/『人倫の形而上学』準備原稿/『諸学部の争い』準備原稿
○19・20巻 講義録 I・II
I 形而上学講義/論理学講義 II 倫理学講義/人間学講義
○21・22巻 書簡 I・II
I(1747-1789年) II(1790-1803年)
○別巻
カント哲学案内 I カント入門/II カント哲学/資料/カント年譜 他

今回の全集では、いままでこぼれていたテキストも含められるようで、うれしいですね。とくに19・20巻の講義録は注目。ただ、やはりというか、なんともというか、Opus Postumumはないようですねぇ。坂部氏が編集責任者のひとりでこれがないのは、なんとも残念。もはや全集での翻訳は期待できないということですね。たしかにこれを訳そうと思ったら20年の研鑚は必要かも。でもねぇ。アカデミー版にだって入っているのにねぇ。ぶつぶつ。

それではまずゲーテのリソースから。
○Johann Wolfgang von Goethe
http://gutenberg.aol.de//autoren/goethe.htm
ドイツのグーテンベルク・プロジェクトです。
ゲーテの次の著作を読めます。
Bassompierres Geschichte von der schoenen Kraemerin (Erzaehlung)
Belagerung von Mainz
Die Geschichte von Mignons Eltern (Erzaehlung)
Die Geschwister (Drama)
Die Saengerin Antonelli
Die wunderlichen Nachbarskinder (Novelle)
Die pilgernde Toerin (Erzaehlung)
Der Mann von funfzig Jahren (Erzaehlung)
Der neue Paris
Der Prokurator (Erzaehlung)
Die gefaehrliche Wette (Erzaehlung)
Die Leiden des jungen Werther
Die neue Melusine (Erzaehlung)
Die Wahlverwandtschaften
Egmont
Eine Gespenstergeschichte
Faust I
Faust II
Ferdinands Schuld und Wandlung (Erzaehlung)
Goetz von Berlichingen
Herrmann und Dorothea
Iphigenie auf Tauris
Italienische Reise
Nicht zu weit (Erzaehlung)
Novelle
Sankt Joseph der Zweite (Erzaehlung)
Sankt-Rochus-Fest zu Bingen
Torquato Tasso
Wer ist der Verraeter? (Erzaehlung)
Reineke Fuchs
West-oestlicher Divan (Gedichtsammlung)
Wilhelm Meisters Lehrjahre
Wilhelm Meisters Wanderjahre
Gedichte
Roemische Elegien (Gedichtsammlung)
Sonette

○Johann Peter Eckermann Gespraehe mit Goethe in den letzten Jahren seines Lebens
http://gutenberg.aol.de//eckerman/gesprche/gesprche.htm
このサイトではさらに、エッカーマンのゲーテとの対話の全文を読むことができます。うれしいですね。

○Goethe-net
http://www.goethe-net.de/
ゲーテを政治家、研究者、詩人、作家などのさまざまな側面から掘り下げるページです。
Thueringer Allgemeine紙のゲーテ関連報道を集めたPressmendungneもなかなかいいですね。1998年からのアーカイヴがあります。

○Goethe bytes
http://www.goethe-bytes.de/
ラジオのDeutsche Welleのゲーテ・プロジェクト。Werkeのコーナーには作品の概要がまとめられています。Biographieでは1749年の誕生から1832年までのゲーテの足跡が年表形式で示されています。ゲートを巡る人物像50 Personen um Goetheも役立つかな。

次はカントのリソース
○Immanuel Kant
http://gutenberg.aol.de//autoren/kant.htm
ドイツ・グーテンベルクのカント・テキストです。
Kritik der praktischen Vernunft
Kritik der reinen Vernunft (erste Auflage)
Kritik der reinen Vernunft (zweite Auflage)
1790 Kritik der Urteilskraft
Was ist Aufklaeung

○Reinhard Brandt:Kritischer Kommentar zu Kants Anthropologie in pragmatischer Hinsicht (1798)
http://www.uni-marburg.de/kant/webseitn/kommentar/kommentar.html
Felix Meiner出版社のカント研究シリーズの第10巻。カントの『人間学』の詳細な分析の全文が読めます。お勧めです。

○Kant on the Web
http://www.hkbu.edu.hk/~ppp/Kant.html
カントに関する詳しいリソース・リンクです。

○Berlinische Monatsschrift 1783-1811,
http://www.ub.uni-bielefeld.de/diglib/Berlinische_Monatsschrift/index-e.htm
ここでは1783-1811年のBerlinische Monatsschriftを検索して読むことができます。カントで検索すると、Gentz, F.v.:Nachtrag zu dem Raesonnement des Herrn Professor Kant uber das Verhaertniss zwischen Theorie und Praxis. など8点がヒットしました。ゲーテも2点ほどあるようです。研究者にはとても役立つリソース。

○Kant Studien
http://www.deGruyter.de/journals/ks/index.html
Kant Studienの目次を調べることができます。

★近刊の哲学関連書
□カント全集の新訳

□哲学者のテキスト

○ハイデッガー全集 第54巻 パルメニデス
ハイデッガー著; 辻村公一ほか訳;創文社; 5500円; 134.96; 99053456; 4-423-19630-1
1942/43年の講義『パルメニデス』の翻訳です。

○知識人と権力 歴史的-地政学的考察
A.グラムシ著; みすず書房; 2700円; 309.337; 99052903; 4-622-05047-1
グラムシの地政学的な文章を編集した書物のようですね。

○法の力
ジャック・デリダ著; 法政大学出版局; 2300円; 321.1; 99053642; 4-588-00651-7
デリダの正義論。脱構築の政治的な意味を明らかにした講演集。なかなかわかりやすそうで、お勧め。

○物質文明・経済・資本主義 15-18世紀 3-2 世界時間
フェルナン・ブローデル著; みすず書房; 8000円; 209.5; 99054111; 4-622-02056-4
ブローデルの大著。読みごたえがありますね。

□哲学者の理論
○リチャード・ローティ ポストモダンの魔術師
渡辺幹雄著; 春秋社; 5000円; 133.9; 99053813; 4-393-32302-5
「ハイエクと現代自由主義」「ロールズ正義論の行方」などの著書のある渡辺さんが、ローティの「全体像をとらえる」書物。

○カント解釈の問題
黒積俊夫著; 渓水社; 7000円; 134.2; 99053146; 4-87440-571-1
カントの「新」解釈だそうです。

○近代イギリス倫理学と宗教
バトラーとシジウィック
行安茂編 晃洋書房 本体3800円 22cm 290 23p
近代イギリスの倫理学についてバトラーを視点から分析した書物とのこと。

○正法眼蔵を読む 2
春日佑芳著 ぺりかん社 本体2600円 20cm 273p
「道元とヴィトゲンシュタイン」「新釈正法眼蔵」「新釈永平広録」などの著書のある春日さんの「正法眼蔵」解釈。2巻では行仏威儀、一顆明珠、心不可得、古仏心などを読むそうです。

○『地中海』を読む
ウォーラーステインほか著; 藤原書店; 2800円; 209.5; 99053703; 4-89434-159-X
ブローデルの代表作『地中海』の読解。50人のコメント集。

○晩年のボーヴォワール
クローディーヌ・セール著; 藤原書店; 2400円; 950.278; 99053681; 4-89434-157-3
サルトルとヴォーワールの出会いとフランスの女性運動の歴史を描いた書物。

○Hegel's philosophy of freedom
(Paul Franco)
New Haven, CT : Yale University Press, 1999.
ISBN: 0300078323 (alk. paper) LCCN: 99022437
LC: JC233.H46 F73 1999 Dewey: 320/.092 21
Price: $ 35.00
ヘーゲルの哲学と自由という古典的なテーマ。

○The contradictions of modern moral philosophy : ethics after Wittgenstein
(Paul Johnston)
London ; New York : Routledge, 1999.
ISBN: 0415208483 (hardcover : alk. paper) LCCN: 99024074
LC: BJ319 .J64 1999 Dewey: 170/.9/04 21
Price: $ 85.00
ウィトゲンシュタインと倫理学というテーマは、最近はかなり流行のようです。

○The hypocritical imagination : between Kant and Levinas
(John Llewelyn)
New York : Routledge, 1999.
ISBN: 0415213614 (alk. paper) LCCN: 99030340
LC: B2799.I55 L57 1999 Dewey: 128/.3 21
Price: $ 75.00
カントとレヴィナスを想像力という視点から考察するのは面白いかも。

□各論
○思想としての孤独 視線のパラドクス
清水学著; 講談社; 1800円; 361.4; 99053284; 4-06-258172-8
文化社会学専門の清水さんが、「文学的想像力の生んだ透明人間・分身・怪物を鍵に、現代社会と孤独の本質をあぶりだす」とか。

○近代日本の歴史的位相 国家・民族・文化
大浜徹也編; 刀水書房; 7600円; 210.6; 99052828; 4-88708-256-8
近代日本を「国家の造型と解釈」「対外認識の世界」「生活と文化の諸相」「外国人研究者の眼」というテーマで考察する論集です。

○江戸幻想批判 「江戸の性愛」礼讃論を撃つ
小谷野敦著; 新曜社; 1800円; 384.7; 99053282; 4-7885-0698-X
「もてない男」で売れっこになった小谷野さんが、江戸文化についての幻想を批判しながら、江戸の「悲惨な文化」をあらわにします。江戸文化の礼賛にたいするポレミックな書物。

○日本近世国家の権威と儀礼
大友一雄著; 吉川弘文館; 6600円; 210.5; 99053301; 4-642-03355-6
国文学研究資料館史料館助教授の大友さんが、江戸時代の儀礼を考察しながら、「民衆にとって国家的儀礼とは何か」について考えます。

○戦後責任論
高橋哲哉著; 講談社; 1800円; 210.76; 99053343; 4-06-209361-8
この書物と加藤典洋さんの『戦後的思考』をほぼ同時に販売して、売ろうという講談社はさすが(笑)

○人類知抄百家言
中村雄二郎著 朝日新聞社 本体1400円 19cm 319 15p (朝日選書639 )
朝日新聞連載の百人の言葉。


○ドイツ戦争責任論争 --ドイツ「再」統一とナチズムの「過去」
ヴォルフガング・ヴィッパーマン著 増谷英樹訳者代表 未来社 本体1800円 19cm 241 10p
ベルリン自由大学の近現代史教授のヴィッバーマンさんが、ゴールドハーゲン論争を中心に、ドイツ再統一のあとでのナチズム擁護の議論の新しい様相について解説


○多文化主義で読む英米文学
あたらしいイズムによる文学の理解
木下卓 笹田直人 外岡尚美編著ミネルヴァ書房 本体3200円 21cm 313 5p (MINERVA英米文学ライブラリー6 )
マイノリティに注目する多文化主義の観点から、英米文学を読み直す試みとか。

○Essentials of Neo-Confucianism : eight major philosophers of the Song and Ming periods
(Siu-chi Huang)
Westport, Conn. : Greenwood Press, 1999.
ISBN: 031326449X (alk. paper) LCCN: 99010657
LC: B127.N4 H86 1999 Dewey: 181/.112 21
Price: $ 85.00
中国哲学ですが。

○Philosophy of art : a contemporary introduction
(Noel Carroll)
London ;New York : Routledge, 1999.
ISBN: 0415159636 (hbk.) LCCN: 99025928
LC: BH39 .C376 1999 Dewey: 111/.85 21
Price: $ 65.00
芸術哲学の概説書。

○Politics without a past : the absence of history in post-communist nationalism
(Shari J. Cohen)
Durham, N.C. : Duke University Press, 1999.
ISBN: 0822323990 (pbk. : alk. paper) LCCN: 99028322
LC: JC311 .C615 1999 Dewey: 320.54/094373/09049 21
Price: $ 18.95
旧ソ連圏の諸国におけるナショナリズムの分析。

○Philosophy and computer science
(Timothy R. Colburn)
Armonk, N.Y. : M.E. Sharpe, 2000.
ISBN: 1563249901 (hc. : alk. paper) LCCN: 99028936
LC: QA76.167 .C65 2000 Dewey: 004 21
Price: $ 58.95
哲学とAI。

○The concept of man in Igbo myths
(Chigekwu Ogbuene)
Frankfurt am Main ;New York : P. Lang, 1999.
ISBN: 0820447048 LCCN: 99048010
LC: DT515.45.I33 O329 1999 Dewey: 299/.63 21
Price: $ 48.95
文化人類学の観点から。

○Recent developments in game theory
(edited by Eric S. Maskin)
Northampton, MA : Edward Elgar Pub., 1999.
ISBN: 1858985153 LCCN: 99032858
LC: HB144 .R43 1999 Dewey: 330/.01/5193 21
Price: $ 180.00
経済学の分野でのゲーム理論の最新状況。

○認知地図の空間分析
若林芳樹著; 地人書房; 4700円; 290.1; 99054097; 4-88501-088-8
人間や動物の環境にたいする空間的な知識を「認知地図」として提示する書物。

○環境の哲学 日本の思想を現代に活かす
桑子敏雄著; 講談社; 920円; B290.13; 99053240; 4-06-159410-9
タイトルとおりのご本かと(笑)

□ジェンダー論とフェミニズム
○ジェンダーのレンズ --性の不平等と人間性発達
サンドラ L.ベム著 福富護訳 川島書店 本体2800円 22cm 278p
ここでいうレンズとは、生物学至上主義、男性中心主義、ジェンダー両極化の3つとか。それぞれのの文化で「個人がいかにジェンダー化されていくのか」を考察するとのこと。

○Analyzing the different voice : feminist psychological theory and literary texts
([edited by] Jerilyn Fisher and Ellen S. Silber)
Lanham, Md. : Rowman & Littlefield, c1998.
ISBN: 0847686418 (pbk. : alk. paper) LCCN: 97030697
LC: BF201.4 .A53 1998 Dewey: 150/.82 21
Price: $ 24.95
フェミニズムの分野では「声」のイメージは強いですね。

○Whiteness : feminist philosophical reflections
(edited by Chris J. Cuomo and Kim Q. Hall)
Lanham, Md. : Rowman & Littlefield, 1999.
ISBN: 0847692949 (alk. paper) LCCN: 99015041
LC: E184.A1 W399 1999 Dewey: 305.8/00973 21
Price: $ 58.00
アメリカの人種差別とフェミニズムの問題を考察する書物のようです。

○The sexual politics of meat : a feminist-vegetarian critical theory
(Carol J. Adams)
New York : Continuum, 2000.
ISBN: 0826411843 (pbk. : alk. paper) LCCN: 99031195
LC: HV4708 .A25 2000 Dewey: 179/.3 21
Price: $ 17.95
動物の権利とフェミニズム。うーむ。タイトルがユニーク(笑)。

○The gendered cyborg : a reader
(edited by Gill Kirkup ... [et al.])
New York : Routledge, 1999.
ISBN: 0415220912 (pbk. : alk. paper) LCCN: 99016255
LC: HQ1190 .G4754 1999 Dewey: 305.42/01 21
Price: $ 27.99
フェミニズムとAI。フェミニズム論は元気ですね。

○ジェンダーの心理学 「男女の思い込み」を科学する
青野篤子著; ミネルヴァ書房; 2000円; 143.1; 99052953; 4-623-03108-X
松山東雲女子大学人文学部助教授の青野さんが、性差についてのステレオタイプについて考察します。

□ナチズム下のドイツ
ドイツで、ナチズムの歴史とナチス体制のもとでの研究や回想の出版が続いています。今回はそのいくつかをまとめてご紹介します。
○"Der Hitler-Mythos. Fuehrerkult und Volksmeinung"
(Ian Kershaw)
Deutsche V.-A., Stgt., 1999 300p; ISBN:3421052859
DM 42,00
ヒトラーが権力の頂点にのぼりつめるために使った技と、ヒトラーを巡る伝説を考察します。

○"Sklavenarbeit unterm Hakenkreuz. Die verdraengte Geschichte der oesterreichischen Industrie"
(Reinhard Engel; Joana Radzyner)
Deuticke, Wien, 1999, 283p ; ISBN: 3216304566
DM 39,00
ナチス体制化の強制労働の歴史について、詳しい事実背景を提示します。

○"Geheime Welten. Deutsche Tagebuecher aus den Jahren 1939 - 1947"
(Heinrich Breloer)
Eichborn Vlg., Ffm., 1999, 340p ; ISBN: 3821841818
ナチス体制化と戦後のドイツの12人の人々の日記を集めています。兵士、実業家、看護婦などのさまざまな層の人々の日記を比較することで、ナチス体制が庶民に及ぼした影響力を分析します。

○"Heimatfront. Kriegsalltag in Deutschland 1939 - 1945"
(Juergen Englert)
Nicolaische, Bln., 1999, 224p ; ISBN: 3875848802
DM 39,80
爆撃と食料不足のナチス体制のもとでの庶民の生活を描きます。

○"Meine deutsche Frage. Jugend in Berlin 1933 - 1939"
(Peter Gay)
Beck, Mchn., 1999, 250p ; ISBN: 3406421105
DM 24,00
浩瀚なフロイトの伝記を著したゲイのナチス体制下の少年時代の記録です。


★オンラインの哲学雑誌(E-Journal)の目次
●Post Modern Culture
http://jefferson.village.Virginia.EDU:80/pmc/
ながい伝統を誇るPMCです。最近は少しパワーが落ちたかなぁ。昔は元気だったのですが。有料の発行体制の参加したことも、影響したのかなとも思います。ただいまでも主要な論文のテキスト・バージョンは無料で読めます。最近の数号の目次をご案内しますね。この雑誌については、主要論文の目次が創刊号から作成してあります。
http://nakayama.org/polylogos/papers/pmc.htmlをご覧くださいね。

□Volume 10, Number 1, September, 1999
○"This Book Spill Off the Page in All Directions": What Is the Text of Naked Lunch?
(Carol Loranger)
○Love and the Debasement of Being:Irigaray's Revisions of Lacan and Heidegger
(Krzysztof Ziarek)
○Technical Ex-Communication: How a Former Professional Engineer Becomes a Former English Professor
(Joe Amato)
○Theoretical Tailspins: Reading "Alternative" Performance in Spin Magazine
(Jim Finnegan)
○Terrible Beauties: Messianic Time and the Image of Social Redemption in James Cameron's Titanic
(Patrick McGee)

□Volume 9 Number 3, May 1999
○"Publicizing the President's Privates"
(Loren Glass)
○ "Violence and Reason on the Shoals of Vietnam"
(Anthony Burke)
○"Automating Feminism: The Case of Joanna Russ's _The Female Man_"
(Heather Hicks)
○ "Textual Indigence in the Archive"
(Jed Rasula)
○"Prophecy and the Figure of the Reader in Susan Howe's _Articulation of Sound Forms in Time_"
(James McCorkle)

□Volume 9, Number 2, January, 1999
○"Dark Continents: A Critique of Internet Metageographies"
(Terry Harpold)
○"Derrida, Algeria, and 'Structure, Sign, and Play'"
(Lee Morrissey)
○"Fleshing the Text: Greenaway's _Pillow Book_ and the Erasure of the Body"
(Paula Willoquet-Maricondi)
○"Rock 'N' Theory: Autobiography, Cultural Studies, and the 'Death of Rock'"
(Robert Miklitsch)
○"Celeb-Reliance: Intellectuals, Celebrity, and Upward Mobility"
(Bruce Robbins)

□Volume 9, Number 1, September 1998
○"The Postcolonial Bazaar: Thoughts on Teaching the Market in Postcolonial Objects"
(Bishnupriya Ghosh)
○"Cybernetymology and ~ethics"
(Alec McHoul)
○"Poetics, Polemic, and the Question of Intelligibility"
(Benjamin Friedlander)
○"A.R. Ammons and 'the only terrible health' of Poetics"
(Kevin McGuirk)
○"What We Talk About When We Talk About Poetry: A Recent View from St. Petersburg"--A Translation of Arkadii Dragomoshchenko's "On the Superfluous"
(Evgeny Pavlov)

□Volume 8, Number 3, May 1998
○ "Ordering the New World: Violence and its Re/Presentation in the Gulf War and Beyond"
(Simon Chesterman)
○"On the Uses and Abuses of Literature for Life: Gilles Deleuze and the Literary Clinic"
(Gregg Lambert)
○"Sylvia Plath, Emmanuel Levinas, and the Aesthetics of Pathos"
(Scott DeShong)
○"Ekphrasis, Escape, and Thomas Pynchon's _The Crying of Lot 49_"
(Stefan Mattessich)
○"Welcome to Basementwood: Computer Generated Special Effects in _Wired_ Magazine"
(Michele Pierson)

□Volume 8, Number 2, January 1998
○"Transnational Cinema, Hybrid Identities and the Films of Evans Chan"
(Gina Marchetti)
○ "Simultaneity and Overlap in Stanley Kubrick's _The Killing_"
(Stephen Mamber)
○ "Presenting the Cyborg's Futurist Past: An Analysis of Dziga Vertov's Kino-Eye"
(Joseph Christopher Schaub)
○"Casablanca's Regime: The Shifting Aesthetics of Political Technologies (1907-1943)"
(Jorge Otero-Pailos)

□Volume 8, Number 1, September 1997
○"Charting the 'Black Atlantic'"
(Ian Baucom)
○"Notes on Mutopia"
(Istvan Csicsery-Ronay)
○"Cyberbeing and ~space"
(Alec McHoul)
○"Reality for Cybernauts"
(Sergio Sismondo)

□Volume 7, Number 3, May, 1997
○ "'Through Light and the Alphabet:' An Interview with Johanna Drucker"
(Matthew G. Kirschenbaum)
○ "Jumping to Occlusions"
(Loss Pequeno Glazier)
○ "Intimate Bureaucracies & Infrastructuralism: A Networked Introduction to Assemblings"
(Craig Saper)


★オフラインの哲学雑誌(P-Journal)の目次
●Archiv fur geschichte der philosophie, 1999, v.81-2
○Conflicting Values in Plato's Crito.
(Harte, Verity)
P.117
○Malebranche, Jansenism and the Sixth Meditation.
(Laywine, Alison)
P.148
○Spinoza on the Vacuum.
(Schmaltz, Tad M.)
P.174

●Ethics, October 1999, v.110-1
○Editorial.
(Deigh, John)
P.1
○Second-Order Decisions.
(Sunstein, Cass R.; Ullmann-Margalit, Edna)
P.5
○Kant, Ideal Theory, and the Justice of Exclusionary Zoning.
(Holtman, Sarah Williams.)
P.32
○Essence and Perfection.
(Kitcher, Philip)
P.59
○The Answer to Kekes's Question.
(Barclay, Linda)
P.84
○Recent Work on Moral Responsibilty.
(Fischer, John Martin)
P.93
○Morality as Consistency in Living: Korsgaard's Kantian Lectures.
(Gibbard, Allan)
P.140

●The journal of philosophy, November 1999, v.96-11
○Meaning and Deflationary Truth.
(Williams, Michael)
P.545
○Knowing Failably.
(Hetherington, Stephen)
P.565
○Bargaining with Neighbors: Is Justice Contagious?
(Alexander, Jason; Skyrms, Brian)
P.588

●Continental philosophy review, 1999, v.32-3 (ミシェル・アンリ特集)
○Preface: Special issue on the Philosophy of Michel Henry Edited by Antony J. Steinbock. (Steinbock, Anthony J)
P.219
○Michel Henry and the phenomenology of the invisible.
(Zahavi, Dan)
P.223
○Cosmos and life (According to Henry and Bergson).
(Yamagata, Yorihiro)
P.241
○A Phenomenological theory and critique of culture: A reading of Michel Henry's La Barbarie.
(Hart, James G.)
P.255
○The problems of forgetfulness in Michel Henry.
(Steinbock, Anthony J.)
P.271
○Seeking a phenomenological metaphysics: Henry's reference to Meister Ekhart.
(Depraz, Natalie)
P.303
○Christianity and philosophy.
(Bernet, Robert)
P.325
○Material phenomenology and language (or,pathos and language).
(Henry, Michel)
P.343

●Philosophical investigations, October 1999, v.22-4
○Personal Identity.
(Wolgast, Elizabeth)
P.297
○Shame, Guilt and Remorse.
(Dilman, Ilham)
P.312
○Discussion: The Extent fo Self-Deception.
(Scheer, Richard)
P.330
○The Availability of Self-Deception.
(Fairbanks, Rick)
P.335
○Critical Notice: Rush Rhees, On Religion and Philosophy.
(Whittaker, John H.)
P.341

●The journal of philosophy, October 1999, v.96-10
○Is There a Place for Philosophy in Quine's Theory?
(Sher, Gila)
P.491
○Can a Turining Machine Know that the Godel Sentence Is True?
(McCall, Storrs)
P.525
○Deflating the Conservativeness Argument.
(Field, Hartry)
P.533
○Comments on Shapiro.
(Azzouni, Jody)
P.541

●The journal of philosophy, September 1999, v.96-9
○Measuring Confirmation.
(Christensen, David)
P.437
○Nothing, Something, Infinity.
(Almog, Joseph)
P.462
○Putnam's Model-theoretic Argument Reconstructed.
(Douven, Igor)
P.479


●お便りコーナー
ナマステさんからメールをいただきました。

> はじめまして。
> ポリロゴス通信の読者、ナマステです。
> 私は以前から哲学や宗教に大変興味を持っていたのですが、あいにくと
> そういう話題が出るような分野を専攻したことが無く(専門は航空宇宙)、
> 一人で哲学書を読んでみたり、思いついたことをつらつらと書いてみたりする
> 日々を送っていました。
> しかし全く一人で哲学や宗教の分野について何かを考えようとしてもすぐに
> 大きな疑問が出てきてそこで立ち止まらざるを得なかったり、自分の興味の
> 範囲外の分野には足を踏み出さなかったりというような状況で、行き詰まりを
> 感じていました。
> このメールマガジンでは哲学について幅広く紹介がなされるようなので
> これからも大変楽しみにしています。
>
> さて、第二号についての感想を少し(哲学の用語にまだ慣れておりませんので
> 拙い言い回しになるかと思いますがご容赦お願いします。)
>
> ある時代の潮流を主体・客体の概念の使用で説明するとこのようになるのかと、
> 興味深く読みました。
> ちょうど私が今読んでいる本
> 「人間の測り間違い」(スティーブン・J・グールド著、河出書房新社)
> で同じ内容を別の切り口(社会的差別と生物学的決定論の関係)で取り上げて
> いるのですが、この本ではその趣旨から骨相学という主題を取り入れずに
> 犯罪人類学という主題を扱っていることに惹かれています。
> まだちょうどこの部分に関する記述にさしかかっているところなので現時点では
> 意見すらまだ持っていない状態なのですがこの相違と類似、その時代に存在
> していた思想などに思いを馳せながら読み進みたいと思います。
>
> ただ、骨相学や犯罪人類学に関することなのですが、その理論を振り回している
> 人々が「主体・客体」といった哲学的な内容を果たして本当に頭の片隅にでも
> おいていたのかどうか、といったことには疑問に感じます。
> この時代の差別意識にちょうど適応するような考え方を自然に紡ぎだしてきた
> その背景に「主体・客体」といった言葉を使って分析し尽くすことができる
> ような構造があったのでしょうか。
> よくわかりません。
>
> ところで私が以前から考えていたことと先人が既に考察していたことに面白い
> 共通点があっておもわずにやりとしてしまいました。
> 話は少し漫画的になるのですが、たとえば二人の人間の脳情報を交換して二人の
> 記憶そのものが交換されたとします。
> 一人は男、一人は女だとしてみましょう。
> 私にはこの交換の後も二人の人格がこれまでのように存続するようには
> どうしても思えなかったのです。
> その脳が入った体の影響を受けて思考の仕方がどんどん変革を迫られざるを
> えなくなるというか。
> 大は、身長や体重、社会習慣の違いから小はホルモンの供給のされ方に至るまで
> 全てがこれまでと違います。
> 体中全ての部品が違うもので構成され直すわけですね。
>
> ここでふと一つの疑問が現れます。
> このような極端な状況を考えると「脳が思考する」という単純な文章をそのまま
> 丸ごと何の批判も加えずに”正”と判断してしまっていいのかという疑問が。
> 私たちが「思考」や「理性」と読んでいるものは一体どのようなメカニズムで
> 機能しているのか。体全体との関連はいかなるものなのか。
> 生物が自分の体組織の全てから常に情報の送受信を行いつつそれらを統一体と
> 見なして行動するからには、「思考」について考えるとき体全体をなおざりには
> できないと思うのです。
>
> なんだか随分と長くなってしまいました。
> このような内容について表出する先を持てるようになったことが嬉しく、つい
> ながながと書いてしまいました。
> これからも配信を楽しみにしております。
> それでは。

ナマステさん、はじめましてメール、ありがとうございました。こちらこそ、よろしくお願いします。グールドのご本、面白そうですね、ぼくも探してみます。

「脳が考える」という表現が適切でないことについては、大森壮蔵さんの詳しい議論があります。大森さんはこうしたいいかたをキメラ命題と呼んでいたはずです。なかなか説得力のある議論なので、お読みになってはいかがでしょう。大森荘蔵著作集の6巻『新視覚新論』とか、第7巻『知の構築とその呪縛』とかがいいかな。
また脳が人間と独立して存在しうると考えるパラドックスについては、パトナムの『理性・真理・歴史』がなかなか面白い議論を展開しています。こちらもぜひのぞいてみてくださいね。
それからメールは長くでも、大歓迎です。できればお便りコーナーだけの別号を出したいくらいです。どんどんご意見をお寄せください。。

=============アンケート募集============
次号は今年の最後の号になります。読者の方々の「今年の収穫」について、ご意見をいただければと思います。今年はこの本がよかったとか、わたしのお勧めの3冊とか、感想をどしどしお寄せくださいね。メール楽しみに待っています。
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ポリロゴス通信第五号(1999/12/21) [部]
発行:ポリロゴス事務局: polylogos@geocities.co.jp
バックナンバー: http://nakayama.org/polylogos/newsletter/
配信: まぐまぐ(http://www.mag2.com/ )
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